こんばんは。
コツメの母さん。です。
父の日シーズンですね。
私の父は10年前に肺せん癌という病気で亡くなりました。
明日が命日です。
ガンの再発だったのですが、再発がわかったのが五月の下旬で、すぐ入院して3週間後に亡くなりました。
父の日には間に合いませんでした。
うちの父はとてもおとなしい人でした。
寂しく育ったらしく、子供の頃の話をしたがらないちょっと影のある父で、お酒を飲まないと明るくなれない性格でした。
お酒は飲み始めるとつい飲み過ぎちゃうので母はよくそのことで怒っていて、私はその怒っているのがすごくいやでした。
おとなしい父でしたが怒るととても怖かったので、ビビリストの私は父の前で常にとてもいい子でした。
とはいえ性格は母より父に似ていたので父のことが大好きでした。気があったのです。
母が
「絶対にコーラを飲んじゃだめ、骨が溶けるから!(←昭和あるあるです)」
と言って私はコーラ全面禁止だったのですが、父はこっそり私を喫茶店に連れて行くと、
「コーラ頼んでいいぞ。」
と言ってくれました。
そんな父は夕方になるとたまにふっと仕事場から戻ってきて私に
「本屋へいくぞ。」
ということがありました。
父は朝早く起きてよく本を読んでいました。
読み終わって本屋に新しい本を買いにいくときは私も車にのせていって本を一冊買ってくれるのです。
私はそれがうれしくて父が本を選んでいる間に児童書コーナーで何を買ってもらおうか選ぶのが楽しみでした。
でも、いつも父に気を使っていたので父が本を選ぶまでに私の本も選ぶように心がけていました。
決めきれないでいると父は「この本はおもしろいぞ」と選んでくれることもありました。
父が選んでくれた本で印象に残っているのが、
「家なき子」
「王子とこじき」
「15少年漂流記」
です。
どれも面白くて夢中で読みました。父に話すと父はストーリーをよく覚えていて、話をよく聞いてくれましたね…。
今でも持っています。
小学校四年生くらいだったかな…。ある日のことです。いつものように
「本屋へいくぞ。」
と言った父についていったのですが、その日はどうしても気に入った本が見つからずにいました。
すると父が「この本はおもしろいぞ。」と言ったのです。
それが「あぁ無情」でした。
あぁ、無情?無情って何?
表紙を見ると暗そうです。
本当は読みたくありませんでした。
でも私は父に気を使って
「これにする。」
と言ってしまったのです。
そんな感じだったので、ああ無情をしばらく開けることもなく本は私の部屋に置きっぱなしになっていました。
ところが数日後、父が
「あの本、読んだか?」
と軽く聞いてきたのです。
『あ…やばい。』
と思った私は読み始めることにしました。
読んだらね…。もう止まりませんでした。
主人公の真面目な青年ジャンバルジャンは、ある日お腹をすかせた家族のためにお金がどうしてもなくて、パンを盗んでしまうのです。
パンを盗んだだけなのに牢屋行き…。
ジャンバルジャンの心はどんどん荒んで行くのです。
そしてギラギラしたまま出所したジャンはミリエル司教との出会いを経て更正して行くのです。
でもどんなにジャンバルジャンが立派になっても全てがうまくはいかないのです。
母が夕飯ができたよと言ってきても行かずに一気読みしました。
最後は「ジャンバルジャン、よかったね…」とおいおい泣きました。
父に感想を言うと、そうかそうかと父はうれしそうに聞いていました。
その時私は人が面白いと勧めてきたものは自分が面白そうじゃないと思っても素直にきいてみようと思いました。
最初から見ないでいたら面白いことに出会えないですよね。
あとは表紙や題名で判断しちゃいけないなぁと思いましたね( ´∀`)
そんなわけで「あぁ無情」の本は私の宝物です。
コツメの母さん。でした!